弘南鉄道 キハ2105
弘南鉄道 キハ2105
◎概要／昨年度は・・・
〜30〜40年代にかけて日車が地方私鉄向けに製造した車体を持つ電車たちです。先に触れた川造型に対比できるスタイルをしてまして、丸みの強い張り上げ車体、上段Ｈゴムのいわゆる『バス窓』などが特徴の、バランスのとれた17m級２扉車です。多くの地方私鉄が古い木造電車などの更新に使ったため、車体は互いに似通っているのですが下回りはばらばらでかつ古いです。従って見かけ以上にその減少の度合は早くなってます。従って、今回紹介できるのは非貫通型と類似品だけになり、また類似のものとして気動車もとりあげますが、残念ながらいずれも車両も路線廃止の計画等によって今年度が紹介できる最後の機会になってしまいそうです。昨年度では、弘南鉄道黒石線が廃止され、最後の気動車グループが事実上消滅しています。
・弘南鉄道 キハ2105（←小坂精錬キハ2105）
キハ2107（←小坂精錬キハ2107）
弘南に残存していた2両は、旅客営業を廃止した小坂精錬より一昨年7月に譲り受けた貴重な日車型気動車です。'62年の小坂鉄道の改軌後に製造された20m2扉セミクロスシートの気動車で、今回挙げる中では多少変わっていますが、関東鉄道キハ500系（現存せず）に始まる日車標準型気動車の最後の2両なので取り上げてみました。現車は非常に流麗な車体をもち、他の電車とはイメージが違いますが、前面だけを見れば日車標準車に共通の貫通丸妻です。現在もワンマン化された他はほぼ原形を保っているといえるでしょう。8両製造され、小坂の営業廃止時には4両が残存していましたが、うち2両が黒石線のキハ2200系置換のために弘南入りしたものです。なお、残り2両も小坂駅にて保管されています。
既に弘南鉄道黒石線は昨年度末で路線廃止され、この2両も元国鉄キハ22のキハ2230共々、再び使用される見込みの全くないまま、黒石の車庫に押し込められています。なお、98.10月時点では車籍は残っています。
・新潟交通 モハ11・12・14
モハ18（←クハ38）
モハ19（←東武デハ6）
モハ21（←モハ13）
モハ24（←モハ17←東武デハ7）
モハ25（←モハ15）
新潟交通では全旅客車中2/3に当たる8両が、現在ではここだけとなった日車標準車体をもっています。ただしここの車体は基本形とは多少違っており、特に非貫通の2枚窓の前面、ドアのステップが独特ですが、その他は良く特徴を持っています。これらの車両はすべて同社在来の電車の改造名義でして、前歴は文字どおりバラバラですが、下回りは標準化のためさらに渾然としており前歴は事実上無意味になっているといえるでしょう。また更新が'60〜'69年の多年に渡ったため、車体にも前期（砲弾型ヘッドライト、ガラベン。11、14、18、19）後期（埋め込みヘッドライト、押込ベンチレーター。その他4両）の2種があります。同社の主力としてワンマン化されて活躍しています。
なお、弘南同様新潟交通の鉄道線も今年度中の全線廃止が既に決定されています。こちらも転出の見込みはなく、路線と運命を共にすると思われます。なお、98.10月時点で既に14が検査切れで東関屋で死んでいるとのことです。
・京福電気鉄道 モハ251（←ホデハ222）
（福井鉄道部）モハ252（←ホデハ17）
京福に残っているのは32年の福井口車庫火災で消失した車両を復旧したものです。標準車体とはかなり寸法が異なり、ウインドシルが付いている上片側非貫通で前面の印象も異なりますが、これは先に鋼体化されたモハ241〜244（現存せず）に準じ、この4両がナニワ工機（現アルナ）と共同設計だったためでして、どちらかというと試作的な存在といえるのではないでしょうか。
現車はワンマン化され、同社唯一のオリジナル車として、全線で活躍しています。ただ、小型であり、在籍車中最も車体が高齢のため、来年度前半期での除籍が考慮されている模様です。
なお、以前253、254が土葬されたさい、251と253が振り替えられたとのことですので、前歴には253のものを記載しました。
◎今後の見通し
弘南の2両は既に職場の黒石線が廃止されており、除籍も時間の問題と言えるでしょう。
新潟の8両も今年度一杯での廃止がアナウンスされています。残り少ない期間の健闘を祈るばかりです。
京福の2両もとうとう除籍の方針が明らかになってしまいました。現時点ではまだ流動的な要素が多いようですが、同社の福井鉄道部全線廃止の方針とは別に、来年度前半での除籍が考えられている模様で、十分な警戒が必要でしょう。
●参考（'95年度除籍車）
・大井川鉄道 モハ1105（←岳南鉄道モハ1105）
参考までに'95年度末に除籍された大井川鉄道のモハ1105を挙げます。あまりにも貴重であった汽車会社製の海賊版にして同社のステンレス試作車で、車体がステンレスであった以外は日車貫通型と全く同じスタイルをしていました。除籍後も千頭駅で鳥葬になっています。なお、近年ＪＲ東海で復元されたモハ1系に台車を供出したそうです。
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